PWC第500回記念大会カバレッジ④
PWC第500回記念大会カバレッジ④
PWC第500回記念大会カバレッジ④
ラウンド3も終わり、プレイヤー達は遅い昼食を摂り始める。

マジックプレイヤーの昼食中の話題といえば、それは勿論スタンダードについてだろう。《密輸人の回転翼機/Smuggler’s Copter(KLD)》がトップ8で32枚使われていたこと、《霊気池の驚異/Aetherworks Marvel(KLD)》の可能性、そして活躍を今か今かと待っているレア達についての議論。

ゆったりとした時間が流れるはずのランチタイム。

だが、今日だけは違った。

対戦テーブルで使うはずの机が何故か細長く設置されている。
そしてその机に積み上がる皿。
純白の服に身を包む職人。

ここは今、戦場と化した。

大量の銀シャリ。そしてとても巨大なクーラーボックス。
寿司職人による戦いが、静かに始まった。


GAME 1


寿司職人がその手に握る得物は包丁。
我々が普段料理に使用する包丁と寿司職人の持つ包丁が異なるものであるということはご存知だろうか。
一般家庭で使用される包丁は両方の面に刃のある両刃。それに対し職人が用いるものは片方の面のみに刃の付いた包丁で、『和包丁』と言う名称がある。『両刃の包丁』が切断することに適しているのに対し、『和包丁』はそぎ取ることに特化しており、まさにネタを作る手段としては最も適していると言えるだろう。

だが今回はこの和包丁の出番は少ない。既に魚達は適正な大きさに切られており、様々なネタがクーラーボックスから積み上がる。

勝負はここからだ。職人がシャリを掴み取る。

右手でシャリを掴むと、それを優しくつまむ。決して寿司職人は米に力を入れない。優しく、潰さぬように、かつ心地よいスピードで、シャリを完成させて行く。
何度もこね続け、崩れないように固めて行く。柔らかく、形をしっかりと作る。そのどちらが欠けても美味しいお寿司は出来上がらない。

しっかりとしたシャリは、口の中で弾けると言われている。柔らかすぎれば崩れてしまい、硬すぎれば口に入れた時にほぐれが悪くなってしまう。このシャリを握る作業は、寿司という日本が誇る伝統料理の中でも最も重要なファクターなのだ。

この難しい動作を、美しい姿勢で行い続けるのが寿司職人のすごいところだ。寿司職人は寿司を握るだけに非ず。美しくリズムよく握るその姿でも寿司職人は魅せる。

シャリが出来上がればいよいよ寿司の完成が近づく。

魚と米が融合し、転がすように握っていく。シャリが飛び出してしまわないようにそれを行いつつ、最小限の動きで全体の形を整えて行く。
前後を回転させて少しずつ調整していき、シャリとネタが合体していく。海を泳ぐ魚と、大地で育つ稲。地と海の融合により、今また奇跡が誕生しようとしている。

最後に指で寿司をつまむ。この最後の一締めで、見事に寿司は完成だ。

職人、圧倒的なスピードで寿司を完成させる。そこに割り込む余地などどこにもなかった。


GAME 2


見事3-0したチームのプレイヤーたちが寿司職人の前に押しかける。

ただでさえお腹が空く時間。加えて目の前で職人が寿司をずっと握っているのだ。酢飯の匂いと魚の香りが食欲を更にくすぐると、我慢できるはずもない。

瞬く間にお皿の上のお寿司たちが消えて行く。
凄まじいスピードで寿司を握る職人でも追いつかない速度で、プレイヤーは寿司を取り、醤油を僅かに付け、口に運ぶ。

勿論上がる歓声は1つ。

「うまい!!」

寿司職人の圧勝だった。


GAME 3


寿司職人の作る姿、食べているプレイヤー達を見て、我々スタッフも我慢できるはずがない!

まずは寿司といえばこれ、マグロ!
漢字で鮪と書くこの赤い魚。その名前の由来は、船の上から泳いでいるマグロを見ると、真っ黒い魚が泳いでいるかのように見えることから、真っ黒→真黒→マグロとなったのではないかと言われている。

一心不乱に口に運ぶ!

う、美味すぎる。

口の中に入った途端、まず口内いっぱいにマグロの匂いが立ち込める。ひとたび噛めば程よく引き締まったシャリが口の中で弾け、いっぱいに広がる。
そして温かいシャリの味に続くはマグロの味。まるで肉のように凝縮された旨味がやってくると、シャリと醤油と絡み合い、あっという間に飲み込みたくなる。

幸せをもう少しだけ持続させたい。その一方で早く飲み込んでしまいたい。
二律背反。あっという間に誘惑に負け、飲み込んでしまった。


続けてぼたん海老。

見た目から既に衝撃だ。これまで知っていた海老とは全く違う。普段はいないはずの頭まで残っているではないか。

尻尾を取り除きつつ、一気にかぶりつく!

これは本当に海老なのか?まず口に入れた瞬間に自問自答してしまったほどだ。それほどまでに柔らかい。そしてあまりにも濃厚だ。
この濃厚っぷり。最早肉ですらない。ピチピチとした見た目。だがいざ噛めば何の抵抗もなく口にとろけていく。
そして海老を長く楽しみたいという気持ちとは裏腹に、海老はあっという間に消えていく。舌に残るのはとろりとした感覚だけだ。
一瞬で口の中から消えてしまう濃厚さ。食べた後も、これが海老だと言うことが信じられない。

美味しすぎる!!


寿司職人さん、投了です。


寿司職人3-0でWin!!

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